ドラゴン・テイル
風の歌
ハッと見上げるウルとリムレットの頭上で、大きく翼を羽ばたかせるドラゴン。
ドラゴンは、少し空を旋回し、体制を整えてからモンスターに向かって急接近し、体当たりをして町から引き離す。
吹き飛ばされたモンスターは地面を削りながら倒れ込んだ。
ヨロヨロと立ち上がったモンスターは、まだ空中を旋回しているドラゴンを見上げた後、背を向けて走り出した。
その姿をずっと睨みつけていたドラゴンは、モンスターが見えなくなってからようやく降りてきた。
ウルとリムレットは、モンスターが見えなくなってからドラゴンに視線を向ける。
ドラゴンが降り立ち、少しだけ町に顔を向けた。
一瞬、町から不安が混じるどよめきが聞こえる。しかしドラゴンは町から視線を外し、リムレットとウルのいる方に向き直った。
唐突に振り向いたドラゴンに、ウルもリムレットも金縛りにでもあったように動けなくなる。
すさまじい威圧。
ただ向き合っているだけなのに、まるで息も出来なくなるような感覚に襲われるほどの。
ほんの数秒程度の時間が、ウルには数分にも感じた。
異変に最初に気づいたのは、ウル。
妙に背後から辺りが明るくなってきた気がする。
ドラゴンから視線を外すのが怖く思ったが、気になって振り向いたウルは、息をのんだ。
「リ…リム……レット……?」
信じられない物を見るように、驚いて目を見開くウル。
「ウル……っ!
ウル、私どうなってるの?!」
ウルの声に反応したように、リムレットが焦りの声を上げる。
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