ドラゴン・テイル

 ウルは、魔専校舎に走った。

 …ラーマ様なら確か……、魔術師専門校にいるって聞いたけどねぇ……。

 その言葉を聞くや否や、ウルはアネットにお礼を言って。


 まだいるかは分からないよ!


 走り去るウルの背にアネットが叫ぶ声。

 だが、ウルは足を止めずに走った。

「…っはぁ! はぁっ…!」

 校舎にたどり着いたウルは、肩で荒く息をしながら門を見上げた。

 ここに来て、ある疑問が浮かぶ。

 ─…この校舎のどこにいるんだ……?

 ドラゴンの姿ならまだしも、今のラーマは人間の姿だと言うことを思い出す。

 まだ滞在しているかも分からない。

 ─…頼むから、まだ居てくれ……。

 そう祈ると共に、門を押し開けた。

 校舎に足を踏み入れる。昨日来たとき同様、人の気配は無い。

 とりあえず、先に本校舎に入った。一階から三階まで、足早に見て回る。

 ─……いない……。

 残った別校舎。一階まで降りて歩く時間がもどかしく感じ、三階の窓から身を投げた。

「フラインッ!」

 ウルの体が重力から解放され、宙に浮かぶ。

 そのまま別校舎入り口に降り立った。


                   _
< 104 / 257 >

この作品をシェア

pagetop