ドラゴン・テイル

 別校舎の扉に、ゆっくりと手を掛ける。

 ─……………閉まってる……。

 ラーマはもうこの町を後にしたのか?

「……っくそっ!!」

 バンッと扉に拳を叩きつける。

 ─……気になっていた謎が解けるかもしれないチャンスだったのに……っ!



「行くなら、一言言ってけよ……!」


「ほう、自分の事は棚に上げてか」


 ─……?!


 突然聞こえた声に、ウルは一瞬体をビクッと震えさせた。勢いよく声の方に顔を向ける。

「ラーマ!!」

 そこには、昨日と同じ女性の姿のラーマが立っていた。

「な、何だ? ゴーストを見たような顔をして……」

 驚いた顔で自分の顔を凝視するウルに、眉を寄せて言うラーマ。

「あ、いや、すまん。もう町を出たのかと思って……」

 驚いた顔のまま、慌てて弁解する。

「でも、まだ居てくれて助かった! ラーマ、聞きたいことがあるんだ」

「何だ?」

 先ほどの慌てた様子からすると、余程重大なことなのだろう。

 ウルは、一つ深呼吸をして口を開いた。



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