ドラゴン・テイル

 ─竜の魂が眠りし場所。その魂は想いとなり、想いは歌となり風に乗る。


 出来る限り忠実に再現するように──。


 ─風は歌と共に、歌は風と共に、巡り巡って戻りゆく。想いは涙となり、魂を継ぐ者を待つ。


 まるで、子守歌のように……──。


 ─歌に導かれし者のみ、その涙を手にするだろう。涙は剣となり、魂を継ぐものの想いを叶える‥‥‥。



 言葉を聞き終えたラーマは、これでもかと言うほど大きく目を開き、呆然としていた。

「……その歌…を……何故知っている……?」

 ようやく絞り出した声は震えていた。

「リムレットが、攫われる前に口にしていた……。この歌を知っているんだな…?」

 小さくうずくラーマ。

「その歌は……黒竜が自分の為に使う甦生魔法だ……」

 ─……甦生魔法……?

「自分に甦生魔法をかけるなんて事が出来るのか……?」

 甦生魔法は、死んでしまった肉体にその魂を呼び戻し、再び甦らせる魔法だ。
 つまり、死んで魂が抜けてからでしか効果が無く、当然、自分自身に甦生魔法をかけるのは不可能だ。


                   _
< 106 / 257 >

この作品をシェア

pagetop