ドラゴン・テイル

「そう……普通ならまず不可能だ。特にその魔法は禁呪とされている。禁呪を使うには、必ず呪文を使う為の肉体が必要だ」

 静かに述べるラーマの言葉は、淡々とした言葉と裏腹に少し震えているように聞こえた。

「……ラーマ、この歌にある《竜の魂が眠りし場所》はどこにあるか知っているか?」

 これが、一番聞きたかった事だ。

 だが、その言葉を聞き、ラーマは力なく首を振った。

「竜の魂が眠る場所とは、その竜が選ぶ死に場所の事だ……。だが、遙か北の国には『竜の墓場』と呼ばれる場所があると聞く」

「竜の……墓場…」

「我にも詳しい場所は分からぬ。『竜の墓場 』と言う名と、それが北の国にあると言うことだけ…」

「いや、それだけでも十分だ。とにかく、北を目指す事にする。有り難うな」

 そう告げると、ウルは校門に向かって足を向けた。

「もう、行くのか?」

 ウルの背に、ラーマが声を掛ける。

「本当ならとっくに町を出ていた」

 もう、昼に近い。空高くに燦々と輝く太陽を眩しそうに見上げて、ウルは短く答えた。

「…そうか、無理はするな」

 昨日と同じ言葉を言うラーマに軽く笑顔を向け、立ち去るウル。

 その姿が見えなくなるまで、ラーマはずっと見送っていた。

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