ドラゴン・テイル
──…………ガサッ
少し間を開けて、人影が一つ出てきた。
明るい茶色の髪の、まだ幼い女の子。
「……!」
思わず息を呑んだ。
リムレットにそっくりなその少女は、ウルをただ黙ってじっと見つめていた。
「…どこから来たんだ?」
平静を装うように、静かな口調で問いかけるが、その声はかすれている。
─……落ち着け、俺。
リムレットがここに居るはずがない。そう自分に言い聞かせる。
「………」
少女は、少し困ったような表情を浮かべ、街道を逸れた森を指さす。
「あっちに何かあるのか?」
問うウルに、コクコクと首を縦に振る少女。
─……言葉が……喋れないのか……。
少女はウルに近づくと、ウルの手を取り森の中に誘導しようとする。
「どうしたんだ……?」
少女に引かれるまま、ウルは森の中に入っていった。
街道の傍に生えていた草とは打って変わり、ウルの胸の高さまである背の高い草をかき分けていく。草で視界の下半分が遮られているせいで、足下は全く見えない。
それでも、少女は一生懸命ウルの手を引き歩き続ける。
しばらく歩くと突然拓けた場所に出た。
その場所だけ木が切り取られたように平らな土地がむき出しになっている。
そこに、一人の人間が倒れていた。
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