ドラゴン・テイル

「コルティは、その子の名じゃ。儂の孫でな、幼い頃、モンスターに娘夫婦……、この子の両親を殺されてしまって…」

 老人は、少女─コルティを自分の傍に招き寄せて、彼女の優しく頭を撫でながら言った。

「この子は両親の殺される瞬間を目の当たりにしてしまってな。それ以来、言葉を無くしてしまったんじゃ」

 コルティは、泣きそうな顔を老人に向ける。

 そうだったのか……。

「でも、それよりこんな所で一体何を…? ここはモンスターが生息する危険地帯なんですよ」

 ウルの問いかけに、老人は悲しげな目を向けた。

「儂等は、この森を抜けた街、ルーヴァの者じゃ…。ルーヴァが……昨夜モンスターに襲撃されて……ザイルに避難しようと森に入ったのじゃが……」

「襲撃された?!」

 思わず声が大きくなる。

 小さく頷く老人。ウルは呆然とその姿を見ていた。

「ルーヴァに、生き残りは…? 俺は、ザイルから来ました。一昨日、ザイルもモンスターの襲撃を受けたんです」

 ウルの言葉に、老人は大きく目を開き、ワナワナと震え始めた。そんな老人を、コルティが泣きそうな顔で見上げる。

「……ま…まさか……、ザイルまで無くなって……?」

 震えるながら言う老人の言葉に、ウルは首を振った。

「いえ、奇跡的に……白銀の竜が通りがかり助けてくれました」

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