ドラゴン・テイル

「お前が、ドラゴンが嫌いだって言った事、今なら分かる。何にも気づかないで、文句言って悪かったな……」

 言葉を紡ぐクレイグ。

「……じゃあ、俺が何しに旅に出たのかも聞いたんだな」

 ウルの言葉に、クレイグは頷いた。

「何で来たんだ?」

 この言葉に、クレイグは驚いた表情を見せた。ウルは構わず言葉を続ける。

「ラーマに聞いたんだろ? リムレットを取り戻すなら、恐らくドラゴンと戦うハメになる。それもただのドラゴンじゃない。昔、同じドラゴンすらも操って世界を支配したドラゴンだ」

「聞いたよ。黒竜……、ブラックドラゴンだろ」

 クレイグが、少し怒ったように言った。

「分かっていて、なぜ追いかけてきた?」

 ウルは、もう一度聞いた。正直、聞かなくても答えは予想出来たが。

「お前を手伝うためだよ、悪いか?」

 ─……やっぱりな……。

 ウルは呆れたように心の中で呟いた。だが、同時に嬉しくも思う。

 ウルがクレイグの立場なら、絶対追っては来なかっただろう。
 ラーマの語る六千年戦争は、ドラゴンの……むしろ、ブラックドラゴンの強さを思い知らされた。

 ただでさえ魔力が桁違いに強いドラゴンを、一度に数多く操るブラックドラゴン。そんなのと戦うかもしれない旅など願い下げだ。

 ましてや、クレイグとリムレットは全く面識がないのだ。だが、クレイグはウルを追いかけてきた。


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