ドラゴン・テイル
「やっぱバカだろ、お前」
一言で切って捨てたウルに、クレイグは怒り出した。
「なんだとっ?! てめぇ、せっかく人が追いかけて来てやったのに、そんな言い方ねぇだろ?!」
「うるせーよ。それより、生存者探すぞ」
立ち上がり、街の中央と思われる方向に歩き始めるウル。
─うるせーとは何だよ!
後ろからクレイグの文句が飛んで来たが、ウルは全く気にならなかった。
さっきまでの気怠(けだる)さが嘘のように、足取りが軽く感じる。
まさか、クレイグ一人現れただけで、こんなにも気が楽になるとは思わなかった。
それは、クレイグに隠し事をしていた罪悪感から解放されたからなのだろうか。
それとも、これから先の一人旅に対する不安が消えたからなのだろうか。
しばらく二人で手分けをして生存者を探した。だが、やはり一人も見つからない。
陽がゆっくりと傾き始めた頃、再び二人は合流した。
「あー………疲れた…。こうも死体ばかりだと、気が滅入るよな……」
クレイグのぼやきに「……あぁ…」と短く答えるウル。
確かにどこを探しても人の気配は無い。
─…やはり、誰かがあの松明を置いた後にまた襲撃されたのか…?
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