ドラゴン・テイル
何故、クルセイダーがここに……?
ウルの頭に疑問が浮かぶ。
ただ、モンスターに襲撃されたのなら、クルセイダーよりも先にナイトが来ているはずだ。
近衛兵の名を持つ精鋭騎士団が出てくるほどの事なのか?
確かに、ザッと見た限りでも数多くの人間が犠牲になっていたが、それだけの理由だろうか……?
─……それに…。
グルっと辺りを見渡す。
─…そういえばナイトが一人もいない。
先ほどの男に続くように現れた数人の人影は、全員同じ鎧を纏っている。
何かおかしい。
「ウル、どうしたんだ? なんかすげぇ難しい顔してるぞ」
クレイグの声に、ハッと我に返った。
「あぁ……悪い。何でもない」
最近、ザイルとルーヴァで立て続けにモンスターの襲撃を受けたのだ。もしかしたら他の街でも襲撃を受けて、ナイトが人手不足なのかもしれない。
若干腑に落ちない気がするが、ウルはそう自己解釈をした。
「まぁ、ココで宿を期待するのは無理そうだし……先に進むか」
そう言うと、ウルは足を進め始めた。
クレイグは、名残惜しそうにクルセイダーの姿を振り返りつつ着いてくる。
街の反対側に、先へと続く街道が延びている。その両側には、遙か地平線に届くかのように広がる一面の畑。
この地が、田園都市と言われる由縁だ。
そんな畑の合間に沿うように続く道を、クレイグと二人で延々と歩き、ルーヴァを後にした。
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