ドラゴン・テイル

 何故、クルセイダーがここに……?

 ウルの頭に疑問が浮かぶ。

 ただ、モンスターに襲撃されたのなら、クルセイダーよりも先にナイトが来ているはずだ。

 近衛兵の名を持つ精鋭騎士団が出てくるほどの事なのか?

 確かに、ザッと見た限りでも数多くの人間が犠牲になっていたが、それだけの理由だろうか……?

 ─……それに…。

 グルっと辺りを見渡す。

 ─…そういえばナイトが一人もいない。

 先ほどの男に続くように現れた数人の人影は、全員同じ鎧を纏っている。

 何かおかしい。

「ウル、どうしたんだ? なんかすげぇ難しい顔してるぞ」

 クレイグの声に、ハッと我に返った。

「あぁ……悪い。何でもない」

 最近、ザイルとルーヴァで立て続けにモンスターの襲撃を受けたのだ。もしかしたら他の街でも襲撃を受けて、ナイトが人手不足なのかもしれない。

 若干腑に落ちない気がするが、ウルはそう自己解釈をした。

「まぁ、ココで宿を期待するのは無理そうだし……先に進むか」

 そう言うと、ウルは足を進め始めた。

 クレイグは、名残惜しそうにクルセイダーの姿を振り返りつつ着いてくる。

 街の反対側に、先へと続く街道が延びている。その両側には、遙か地平線に届くかのように広がる一面の畑。

 この地が、田園都市と言われる由縁だ。

 そんな畑の合間に沿うように続く道を、クレイグと二人で延々と歩き、ルーヴァを後にした。

                   _
< 124 / 257 >

この作品をシェア

pagetop