ドラゴン・テイル

コパン


「あ゙ー……」

 一昨日ルーヴァを出てから今日に至るまで、街と言う街にたどり着けず、ただひたすら街道を歩いている。

 なんら代わり映えの無い街道は、相変わらず何もない平原の上に真っ直ぐ続いており、遙か先に山のシルエットが見える。


「ゔー……」

 特にモンスターや盗賊と言った危険な輩に襲われる事もなく、旅は順調に進んでいた。

「お゙ー……」

「なんだよ! さっきからうるせーな!」

 ウルは、先ほどから少し離れた後の方で意味不明な呻き声をあげるクレイグを振り返った。

「だってよ……マジ暑い…」

「お前の呻き声聞くとこっちまで暑くなる。少しは黙れ」

「仕方ねぇじゃん。暑いもんは暑いんだし……」

 クレイグの言うとおり、今日の気温は、昨日と打って変わりかなり上昇している。

 昨日は少し肌寒い感じがあったので、尚更そのギャップが体にこたえる。

「俺だって暑いんだから我慢しろ」

 そう言うウルも、先ほどあまりの暑さにマントを脱ぎ、魔法で作った手のひらサイズの氷をマントに包(くる)んで首に当てたりしている。

「俺にも氷……」

 ダバーーッッ

 クレイグの言葉を遮り、突如クレイグの頭上から水が大量に降ってきた。

「っだぁぁ?! 冷てーーーっっ!!」

 余程冷たかったのか、クレイグは水から逃れるようにウルの方へ走ってきた。

「ウル! いきなり何すんだよ!」

 クレイグがウルに食ってかかる。

「俺じゃない俺じゃない」

 そう言うと、辺りに注意深く視線を巡らせた。


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