ドラゴン・テイル
「確か、ピクシーは詠唱なしで魔法を…」
ズバシンッッ
ピクシーの体が一瞬発光したかと思った瞬間、ウルの言葉を遮るように激しい音を立てクレイグの腕に雷撃が走った。弾けるようにピクシーが宙に放り出される。
「……使えるらしいから、離した方がいいぞ…って、遅かったな」
「いぃーーっってぇぇぇ……っ!!」
相当痛かったのだろう。クレイグは腕を押さえてうずくまりながら、イジケたようにウルに言った。
「……そーゆーの、もっと早く教えて…」
「悪い悪い。俺も忘れてたんだ」
ウルが苦笑いを浮かべて、ピクシーが放り出された方に目を向ける。
ピクシーは、街道の脇の草むらに落ちていた。ヨタヨタと立ち上がり、逃げようとする。
「悪いな、ウチのバカがご立腹みたいで逃がしてやれない」
ウルは、小さく呪文を唱え、ピクシーの足下に耐魔法性の結界を張った。
その瞬間、逃げようとするピクシーが見えない壁にぶつかり、コロンと後方に転がるように倒れる。
一瞬、何が起きたのか分からず、辺りをキョトキョトと見渡し立ち上がる。
手を延ばすと、見えない壁に気づいたのか、ハタから見たらパントマイムをしているような動きで出口を探し始めた。
_