ドラゴン・テイル
ウルは、周りの同年代に比べると顔立ちが整っていて、美形の部類に入る。
だが、その顔に表情が浮かぶことは滅多に無い。
そんなウルの顔で睨まれると、友人と言えどさすがに怖い。
「ま、まぁそう睨むなって。
ごめん、悪かったよ」
単刀直入に言うからと、クレイグはウルをなだめる。
「実は、一緒に祭りに行ってほしいんだ」
真面目な顔で言うクレイグの目に嘘は無かった。
だが同年代で一番仲が良いと思っていたクレイグに、まさかそんな事を頼まれるとは思いもしなかったウルは一瞬絶句した。
「はぁぁ?? おま…、俺がこの祭り嫌いな事くらい知ってんだろ? 行くと思うのかよ。わりーけど他当たってくれ」
クレイグの手を邪険に振り払ってウルが言った。
「……どうしても、この祭りだけは嫌なんだよ。他の祭りなら考えてやる」
「だめなんだよ、もう連れて行くって約束しちまったんだ。頼むよウル。付いてくるだけ! な? 別にいいだろ?」
「……約束?」
恨めしそうな目をクレイグに向ける。
クレイグは、少しばつが悪そうに苦笑いを浮かべた。
「約束って何だよ」
「えぇ〜っと……」
戸惑いながら遠まわしに告げるか、直接ストレートに告げてちょっと怖い思いをするか……。
クレイグは少し迷った末に、後者を選んだ。
「実は、キスティンと一緒に行く約束したんだけどさ、キスティンの友達がお前の事気に入ってるみたいで誘ってくれって言うんだよなー」
はは……っと軽い声笑いを漏らす。
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