ドラゴン・テイル

「何故、宝玉を隠す必要があったんだ?」

 ウルの質問に、小太りのピクシーは首を振った。

「それは……わかりません。
 我々ピクシーは短命です。我々に伝わる言い伝えより、人間に伝わる言い伝えの方が正しいのではないでしょうか」

「いや、俺の知る限り、文献にも言い伝えにも、宝玉の事は何も残されていないんだ」

 ……そうなのですか……。そう言うと、再び弱々しく首を振った。

「お力になれず、申し訳ない……」

 小太りのピクシーがそう呟くと同時に、部屋の扉が開いた。

「戻りました。ラストル様」

 見ると、ルッソとクレイグが部屋に入ってきた。

「ラストル?」

ウルが口を開くと、小太りのピクシーが思い出したように言った。

「そういえば、まだ名乗っておりませんでしたな! いやいや、申し訳ない。
 私が、ラストルです。この地に住むピクシー達を束ねております」

 そう言うと、小太りのピクシー、ラストルは頭を下げた。

 つられてウルも軽く頭を下げる。

「ウル、聞いてくれよ! 服が一瞬で乾いたんだ! すげぇぜ、ピクシーの技術!」

 ウルを見るや、クレイグが興奮したように寄ってきた。
 服はすっかり乾いたようだ。

「良かったな」

 そう一言だけ言うと、ウルは再びラストルに質問した。


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