ドラゴン・テイル

『おかしいと思わないか?』

 もう、全てにおいておかしいと思うウルは、不意に問われても何から口にして良いのか分からなかった。

『六千年戦争。お前達の見た漆黒のドラゴン。攫われた娘……』

 要所を一つの単語にして並べていくラーマ。

『隠された神殿。街を襲うモンスター。盗まれた宝玉……』

 そこで、ウルはハッとする。

 ─………まさか……。

「宝玉は、ドラゴンの手に渡っていないって事か?」

 クレイグが言う。

 ……だが、

「…違う……」

 クレイグのそれを、ウルが否定する。

「いや、あながち間違いじゃないんだろうが……」

 付け足すように言うウルの言葉を引き継ぎ、ラーマが話し始めた。

『確かに、今宝玉は黒竜の元にはないだろう。あれば、既に何らかの動きがあるはずだ』

「じゃぁどういう事だよ。もうわかんねぇ……」

 考えることを放棄したクレイグが、ラーマに答えを求めた。

「……キィ…………」


 不意に響いた弱々しいコパンの声に、その場にいる全員が沈黙する。

 コパンは、フラフラと起きあがると、ラーマの姿を見て驚いたように目を開いた。

「あら、ピクシーの知り合いがいたの?」

 コパンを見て、キスティンが近づく。それを慌てて止めるクレイグ。


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