ドラゴン・テイル
「待った! キスティン、不用意に近づいちゃ駄目だ。
こいつ、すげぇ悪戯するんだぜ」
「そーなの?」
押しとどめるクレイグを、キョトンとした顔で見つめるキスティン。
そんな二人に目も向けず、コパンは辺りをキョロキョロと見回した。
ルッソの姿を探すように……。
一頻り(ひとしきり)辺りをフラフラと探し回った後、再び座り込んで涙を流し始めた。
─……ルッソは、恐らく来ない……─
コパンが眠った状態で転移された時に、ウルもクレイグもどこかでぼんやりと分かっていた。
それでもあの場で待ち続けたのは、コパンに理解させるため。
眠った状態で送らなければならない程、コパンは必死ですがりついたのだろう。
頬に涙の筋がいくつもあったのを見逃さなかった。
ウルは、座り込んだコパンに近づいて腰を落とす。
「気分はどうだ?」
声をかけるが、コパンはピクリとも動かない。
「お前もトモダチ亡くしたんだな」
泣いたとき、子供が肩でしゃっくりをするように、コパンの肩が揺れる。
「俺もだ」
ウルが、小さなコパンの背を優しくさすった。
一瞬だけ、ビクンッと体を震わせたが、逃げる出もなく、その場を動かずコパンは肩を揺らす。
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