ドラゴン・テイル
「そうだな」
ウルは、コパンを抱き寄せた。
「強いぞ、コパン」
コパンはウルの腕の中で、気持ちよさそうに目を閉じた。
瞼の裏に移るのは、気の良いピクシーの仲間達。ルッソ、ラストル、トト……バーズはまだ怒った顔をしている。思い返すと、いつも怒らせてばかりだった気がする。
そして、ルーシィ。
淡いピンク色の体で、コパンより一年早く生まれたお姉さん。
姉弟では無いが、コパンは本当の姉のように慕っていた。
あの日、広い野原で遊ぶことに夢中でいつのまにか一人群を離れてしまった時、一番に気づいて探してくれたルーシィ。
モンスターに襲われた時、コパンを突き飛ばし代わりにモンスターに食べられた。
……ごめんね……ルーシィ。
瞼の裏で明るく笑顔を向けるルーシィにコパンは心の中で謝る。
─いいのよ。今まで、悲しんでくれて有り難う。忘れないでくれて、有り難う。
そう告げているようなルーシィの笑顔。
ただずっと、コパンは見つめていた。
ルーシィの無惨な姿を見た仲間達は、みんなコパンに忘れなさいと言った。それが嫌で、それが悲しくて。
小さなコパンには、悪戯をすることでしか反発が出来なかった。やり場の無い罪悪感をぶつけられなかった。
─……みんな……みんな……
……ごめんなさい……。
心の中で言いながら、いつの間にかコパンは夢の中に落ちていった。
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