ドラゴン・テイル

「シャインフレアッ!」

 空気に火がついたように、ほんのりと淡く輝く。

 辺り一面が明るくなり、薄暗く分かりにくかったマーダーリッチの姿を浮かび上がらせた。

 まだ穴から続々と出てくる。

「げ。囲まれてんぞ……」

 ウル達の周りに少し距離を取って、丸く囲むようにウゾウゾと動くマーダーリッチ。

 ─キィッキィィッ……!

 頭上では、しきりに叫ぶコパンの声が響いている。

「何とかならないの?!」

 キスティンが悲鳴に似た声を上げる。

 その声に反応するように、マーダーリッチが飛びかかってきた。

 クレイグの剣が閃く。

 足下を這ってくるマーダーリッチを剣で串刺し、そのまま刃を前に引き上げ、飛びかかってくるそれを縦に一閃。
 勢いよく振り上げた剣を頭上で一回クルッと回し、次に飛びついてきたものに振り下ろす。

 と同時に這ってくるものを蹴り飛ばすことも忘れない。

 ……クレイグの剣技は初めて見るが…、鮮やかなものだな……。

 次々と襲いかかるマーダーリッチを火の魔法で応戦しつつ、ウルは視界の端に移るクレイグに驚いていた。

 一人、マーダーリッチの中に突破口を切り開いていくクレイグ。おそらく、本人は自覚していないだろうが、ウルとキスティンから離れ、マーダーリッチの輪の外へと前進している。

 ウルは、キスティンの傍に行き、キスティンを連れてクレイグの後を追った。

 クレイグの通った後をすぐに埋めようとするマーダーリッチを焼き払いながら走るウルとキスティン。

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