ドラゴン・テイル

 三人がマーダーリッチの群を抜けた時、ウルの放った光の粒達が上空へと舞い上がった。

「な、何?!」

 キスティンがウルを見る。

 ウルも驚愕の表情を見せる。

 光は、ゆっくりと上へ舞い上がる。その先には、ラーマの姿。

 光が帯を作りラーマの周りを一周。
 次の瞬間、その帯が無数の光弾に姿を変えてマーダーリッチに降り注いだ。

 ズドダダダダダダダダダダダッッ

 激しく大地を撃つ音と、地響き。

 マーダーリッチ達が砕け、散り散りになっていく。石や土が辺りに舞い上がる。

 ウル達は思わず耳を押さえて目を塞いだ。

 オォォォォン……ッ

 豹が、ウル達と光弾が降り注ぐ大地との間に飛び込み、大きく吼えた。

 豹の足下から、地面が壁のように突き上がり、石の飛来を防ぐ。


 しばらく続いた光弾の嵐が止まり辺りに静けさが戻ってから、ようやくウル達は目を開いた。

 豹の作った壁の向こうに視線を向け……、目に映る光景に唖然とする。

 そこは、光弾によって大きく地面が抉(えぐ)れ、地下十メートル近く穴が開いていた。

 穴の周りは黒く染まり、マーダーリッチは、一匹も居なくなっている。

「……す、すげぇ………あれだけいたモンスターが……」

 クレイグが掠れた声で呟き、その後ろでは、呆然とした表情のキスティンが立ち尽くす。

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