ドラゴン・テイル

 大地に降りたったラーマの背から、転がり落ちるようにコパンが姿を現す。

 そのまま、ウルの腕に飛び込んできた。

「…よ…よかっ…よかった!
 コパン、こ、こわかった……!」

 腕の中で泣きじゃくるコパンの頭を、ウルは優しく撫でる。
 どうやら、懐かれたようだ。

「ラーマ、助かった」

 ウルは短くお礼を告げる。
 ラーマは、目を細めて小さく頷いた。

「もう、用は無いな…? それでは、私は失礼させて頂くぞ、キスティン」

 豹が、まるで猫がするそれのように、前足で顔を撫でている。

「え、あ、うん。ありがとう。
 助かったわ、クーパ」

 キスティンが、豹─クーパの首元を優しく撫でると、クーパは気持ちよさそうに喉をゴロゴロと鳴らした。

「精霊が精霊士の手助けをするのは当然のこと。また何かあったら呼ぶがいい」

 そう言うと、クーパは闇と同化するかのようにスゥッと消えた。

 それを見届けて、ラーマが口を開いた。

『宝玉を、探そう……。どこにあるかは分からんが、とりあえず神殿へ……』

 そう言い掛けた時、腕の中のコパンが涙顔をあげて言った。

「……ごめ…なさい……」

 全員がコパンに視線を移す。

「……ごめんなさい……」

 そう言うと、また泣き出した。


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