ドラゴン・テイル
「コパン、お前は何か悪いことをしたのか?」
真っ直ぐ見つめるウル。
コパンは、涙目で小さく頷いた。
「……ごめんなさ……ごめんなさい……」
まるで、初めて覚えた言葉のように、それだけを繰り返す。
「コパン、誰も怒らないから、教えてくれ。神殿はどこにある?」
ウルの問いに、それでもコパンは首を横に振った。
「俺たちを行かせたくないんだな?」
次は縦に。
「何でだ? 危険な場所なのか?」
クレイグの言葉に、コパンは顔を上げた。
「怖い…人間いっぱい……。いっぱい、人間殺す…」
だから、行かないで……。
そう言うと、ウルにしがみついてきた。
「……玉、あそこに……無いの……」
ウルは、コパンの背中を優しく撫でながら思考を巡らせる。
─…怖い人間が人間を殺す? もしかしたら、盗賊団か何かが神殿をアジトにしているのか……?
ウルは軽く首を振る。
神殿がアジトになっているのなら、宝玉を持ち出す意味が分からない。
ならば、"怖い人間"が盗賊と言う線は薄いか……。
別の場所をアジトにしている盗賊が神殿を襲った瞬間をたまたまコパンが目撃したとも考えられる。
だか、いっぱい人間を殺すとはどういう意味だろう……。
神殿の存在は最低限の人間だけが知っているとしても、そんなに大勢の人間が神殿にいたのだろうか。
何の為に? 盗賊から守るためなら、多少なりとも武装しているはずだ。
コパンの口振りでは、まるで一方的に殺されていたように聞こえる。
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