ドラゴン・テイル

「街の人間、神殿に逃げてた……」

 少し落ち着きを取り戻したのか、コパンはウルの腕にしがみついたままポツリと言った。

「コパン、神殿、前から知ってる。その一番遠い部屋、玉あるの、知ってた……」

 全員が驚いた視線を向ける。

「コパン、困らせようって……大事そうにあったから……だから……」

 まさか……。

 ウルの脳裏に、一瞬過ぎる考え。

「……宝玉を、盗んだんだな……?」

 ウルの声に、コパンはビクンッと一つ身震いをする。
 パッと顔を上げて、ウルに言った。

「でもっ! でもコパン返しに行ったの! 街が壊れちゃった時…!
 そしたら……そしたら……っ!」

 ウルの腕を握るコパンの小さな手が僅かに震える。

「人間が…鎧着た人間……。怒鳴りながら、街の人間殺していったのっ!」

 叫ぶコパンを、誰も止められなかった。
 それが、コパンには自分が責められているように感じた。
 悪いことをした自覚はある。

 それでも、どんなに怒られても、あの恐ろしい場所にウルを連れて行きたくなかった。

 ルッソは「守れ」と言った。
 コパンは、ウルを危険な神殿に連れて行かない事が守ることなのだと思った。

 行ったら、きっと殺されてしまう。あの人間達のように。それだけは、避けなければと。

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