ドラゴン・テイル

 クレイグに連れられ待ち合わせ場所に行くと、キスティンと少女が待っていた。
 少女は、最初驚いた顔でウルを見て、恥ずかしそうなに俯いた。

「レ、レナです。宜しく御願いします」

 俯き気味にそう告げる少女。

「レナちゃんか〜! 名前も含めて可愛いねー。俺、クレイグ! クレイグ・サンガ、宜しくね」
 こいつは何でいつもこう元気なんだ…。
 呆れを通り越し感心の目を向けるウル。

「んで、こいつが」
「ウル・マーロウ。」
 勢いに任せ、ウルの紹介もしようとするクレイグの言葉を遮る。
 こいつに任せると何言われるかわからない。キスティンの時に実証済みだ。

「宜しく御願いします」
「宜しく……」

 何が宜しくなのか分からないが、とりあえず話を合わせる。

「よーしっ! じゃ早速出店巡りだな!」

「え、パレード見ないの?」

 クレイグの言葉に、キスティンがきょとんとした顔で問う。

「何を言うキスティン! 祭りと言えば出店だろう!」
「えー、パレードだよ〜。今年の竜の巫女役の子、私の友達なんだよー」

 竜の巫女……?
 ピクっとウルが反応する。

「出店は祭りの時しかお目にかかれないんだぞ!」
「パレードだってそうじゃない。そーだ! じゃぁ別行動しようよ! パレード見る人と、出店回る人と別れよーよ」

 良いアイデアとばかりにポンっと手を打つキスティン。
 だがクレイグは慌てて拒否した。

「な、何言ってんだよ! そんな事したら折角のデート……じゃなかった、待ち合わせが意味ないだろ?!」
「ねぇ、二人の意見も聞こうよ」
 キスティンは、レナとウルに視線を投げた。

 急に話を振られ少しオロオロするレナと、何かを考え込んでいるウル。

「マーロウ君はどうしたい?」
 キスティンがウルに声をかける。
「竜の巫女って、ナニ?」
 ウルにはまるでキスティンの声が聞こえておらず、すぐ隣にいるレナに聞く。

「え? あ、お祭りの最初に竜に祈りを捧げる人です……。毎年、若い女性が一人選ばれて、その女性を竜の巫女と呼びます」

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