ドラゴン・テイル

 ─…だから、「ごめんなさい」だったのか……。

 ウルは、震えながら力一杯しがみつくコパンをただじっと見つめていた。不安そうなコパンの瞳が見つめ返している。

「コパン……」

 静かな口調でウルが声をかける。

「宝玉はどこにある」

 コパンは、蚊の泣くような声で言った。

「…おうち……」

 ウルが、額に手をあて、瞑目してため息を付いた。

「……お家っつーことは……あの穴か……バジリスク、まだいるかな……」

 クレイグがため息混じりに言う。

 バジリスクに襲われたピクシーの住処。

 またあそこに戻るのか……。

 ウルは、ふと思い止まる。

 ─…もう長い間大人しかったのですが─

 ルッソの言葉が脳裏に甦った。

 ─長い間大人しかったバジリスクが、よりにもよって宝玉のある場所を襲った?

 ルーヴァの事もそうだ。

 宝玉のある場所が二度も襲われたのは、ただの偶然なのか?

『宝玉を狙った襲撃か……』

 ラーマの声が、不気味な程静まりかえった辺りに響いた。

「とにかく、ピクシーの穴に向かおう」

「だな、もしかしたらまだあるかもしれねーし、宝玉」

 ウルの言葉に、クレイグが賛同するが、コパンは首を振った。

「だめッ! 行っちゃヤだ!」

 ぎゅぅっと体重をかけて押しとどめようとする。



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