ドラゴン・テイル

「コパンちゃん、聞いて?」

 キスティンが、必死にウルの腕を引くコパンの横に屈んで言った。

「私たちね、コパンちゃんが持ってる宝玉がどうしても必要なの。あれが無いと、とっても怖いことが起こっちゃうの。
 わかるかなぁ……?」

 コパンは、キスティンを見てコクンと頷いた。

「玉、呼べる」

 頷いたコパンの言葉が、一瞬理解出来なかった。

「……玉……」

「……呼べる……?」

 動きを止め、クレイグとウルが呟く。

 コパンは再び頷いた。

「玉、呼べる。コパン、転移魔法得意!」

 転移魔法……あの魔法陣か?

 クレイグとウルは、同時に穴からここまで来た経緯を思い出す。
 確か、魔法陣で……。

 思い出すと、クレイグが言った。

「いやいや、あれだって魔法陣があるから出来たんだろ? ここで魔法陣貼っても、俺たちが移動するだけで宝玉は動かねぇんじゃね?」

 もっともな意見だ。

 ウルも頷き、コパンに言った。

「あれは、魔法陣の中の物を移動する魔法だろう? それに、術者が近くにいないと出来ないんじゃないのか?」

 ウルの言葉に、コパンは頷いた。

「コパン、出来る。みんなスゴいって言った!」

『ふむ……』

 それまで黙って聞いていたラーマが、納得したように呟いた。

_
< 161 / 257 >

この作品をシェア

pagetop