ドラゴン・テイル

『ピクシーは、元々移動魔法を得意として、街から街へ、あらゆる生き物の行き来を手助けした事がある』
 遠い昔に出会ったエルフが、そう言っていた。

 そう言って、ラーマはコパンを見る。

『こいつは、強い魔力を持っているな。
 魔法陣を通じて、離れた場所にある物を呼ぶことも、あるいは可能かもしれないが……』

 そこまで言って、ラーマは口を噤(つぐ)んだ。

「しれないが………何だよ?」

 クレイグが先を促す。

『対象物も魔法陣に無いと無理だろう? 魔法陣を介して移動させるのだから、魔力が及ぶのは魔法陣の中だけだ』

 言うラーマに対し、はぁっとため息を落とすクレイグ。

「つまり、結局は宝玉の所に行かなきゃダメって事だろ?」

 宝玉を魔法陣の中に入れなければ呼べないということだ。

「コパン、玉運べない。玉、大きいの。コパンより背高いの。だからコパンね、玉に魔法陣貼って持って行ったの」

 コパンの言葉に、再び……、長い沈黙が落ちた……。


『魔法陣を……貼った、だと……?
 宝玉に……?』

 いまいち理解出来ないラーマが、沈黙を破りコパンに問う。

 ラーマのみならず、この場にいるコパン以外の全員が理解に苦しんだ。


 コパンは、ラーマを見てコクコクと何度も頷く。


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