ドラゴン・テイル

 陽のある時間帯……?

 一瞬頭が真っ白になった。

 俺が覚えているのは、陽が沈んでしばらくの間だ……。

 転送され、モンスターに襲われ、クルセイダーに………

「……ッ、コパンッ!!」

 誰もいない道に、ウルの声が響く。

 そうだ、コパンはどうなったんだ?!

 もう一度、辺りを見渡す。

 ウル以外、人の気配は感じない。

「どうなったんだ……ッ?!」

 やり場のない思いがウルを掻き立てた。

 とにかく、進まなきゃ話にならない。

 ウルは、道を歩き始めた。

 どっちに向いてるのかも分からないが、それでもここで立ち止まっているわけにもいかない。

 不安に押しつぶされそうになりながら、一歩一歩進む。

 不意に開けた場所に出た。

 木々が途切れ、少し先には子供が作るような土の山が一つだけあり、その傍ら(かたわら)に木で作った札のようなものが刺さっている。

 近づいて、気づく。

 その土山の先は、深い崖だった。

 ウルは崖の縁から一歩下がり、地面に刺さっている木の札を見た。

 何て書いてあるのかが読めない。おそらく文字なのだろうが、ウルの知る言葉では無かった。

 土山に目を向ける。一輪の枯れた花が置いてあった。

 誰かが、ここで死んだのか……?


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