ドラゴン・テイル

 レナの家へ向かう道中、ウルは色々と質問をした。

 今がいつなのか、ここはどこなのか、キスティン達から何か連絡は無かったか…。

 今は、クレイグ達と離れた日の翌日らしい。そして、この街は『グレイクレイ』。

 レナはこの街に住んでおり、ちょうど川辺に生息する薬草を摘みに来てウルを見つけたらしい。

 そして、キスティン達からの連絡は無い……と…。

 レナの家に着くと、今度はレナがウルに質問をする。

「ウルさん、何故あの森に居たんです?」

 ウルは、思い出すように少し間を空けて答えた。

「とあるピクシーに転送された」

「ピクシー…ですか……。あの森は、グレイフォレストと呼ばれているのです。別名は、ピクシーの森……」

 レナは苦笑して答えた。

「あの森は、ピクシーが魔法で塞いでしまっているのですよ。何でもあの森で、ピクシーがモンスターに……」

 ──コンコンッ

 レナの言葉が途切れる。

「あら、誰かいらっしゃったみたい。すみません、少し待って下さいね」

 レナは、ウルにそう言い残すと玄関へ向かった。

「はい、どちらさまでしょうか?」

 カチャっと扉を開けて、レナが訪ねる。

「あら、クルセイダーさん……?」

 部屋に聞こえるレナの声に、ウルの思考が一瞬止まった。

「怪しい人? んー……特にお見かけはしていませんが……」

 レナの声だけが部屋に届く。

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