ドラゴン・テイル
「マーロウさん、何を飲みますか?」
ふとかけられたレナの声にはっと現実に引き戻された。
見ると、いつのまにか出店の前に立っている。
車輪がついた押し車の荷台に、所狭しといろいろな飲み物が並べられていた。車体には、簡単に飲み物の種類と値段だけ書かれた飾り気の無い張り紙が付いている。
一通り並べてある飲み物を眺めてから、お茶を取る。
お金を払おうとして財布に手をのばす前に、レナが払っている姿が目に止まった。
「奢っちゃいます」
だから、機嫌を治して下さい。
そう訴えるような視線を向けた。
「……ありがと…」
レナの目を見ずにお礼の言葉をのべる。
「ほら、クレイグには私が奢ったげるわ。何にすんの?」
「まじでー?! もー一発で機嫌治っちゃう!」
キスティンの言葉に、大げさなまでに喜ぶクレイグ。
……単純………。
嬉々として飲み物を物色するクレイグを見て、三人は同時に思った。
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