ドラゴン・テイル

「お仲間の登場ですか。あぁ、そういえば自己紹介がまだでしたね」

 男は軽くお辞儀をしながら言った。

「私は、この国の第二王子。スキール・グランドールです。以後、お見知り置きを」

 顔に笑みを浮かべながら。真っ直ぐウルを見つめてるように顔を上げた。

「先ほど、そちらのお方にもご提案させて頂いたのですが……」

 クレイグに視線を向けながら、男─スキールがウルに言う。

「どうでしょう、宝玉さえ渡していただければ、あなた方の疑いは全て揉み消してさしあげますが……」

 ウルは、黙ってスキールを見据える。当然ながら、交渉に応じるつもりは無い。だが、スキールは無言のウルの反応を是と取り、話しを続ける。

「もう追われる心配は無くなるのです。これ以上の条件は無いと思いませんか?」

「黙れッ! だから、俺らはそもそも無実だっつってんだろッ!」

 物言わぬウルの代わりにクレイグが叫ぶと、持っていた剣を引き抜いた。

「実力行使?
 上等だ! かかってきやがれッ!!」

 完全に頭に血が登っている。
 剣を抜いたクレイグを見て、スキールは軽くため息をついた。

「ふぅ。どうして剣士と言うものはこう頭が堅いのでしょう…。その点、魔術士は実に臨機応変な対応が出来るので頭が柔い」
 そう思いませんか?

 そう言いたげな視線をウルに送るスキール。

 ウルは軽く肩を竦め、答えた。


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