ドラゴン・テイル
竜の言っている意味がいまいち理解出来ないらしく、スキールが困惑した表情を浮かべている。
そこに、もう一つの雄叫びが響いた。
オォォォオオォォ……ン…──
声に、辺りを見渡す黒竜。
その直後。
バキバキメギッッ……ズォォォンッ
上空から、そびえる木々をなぎ倒しながら白銀の竜が黒い竜の上に落下してきた。
「ラーマッ!!」
ラーマは、一瞬ウルに視線を向け─
=─逃げろッ!
テレパシーを使い叫ぶように言った。
只ならぬ雰囲気に、ウルはすぐコパンを抱え上げ、クレイグに「逃げるぞッ! レナを頼む!」と言い残すと、弾かれたように森の中へ飛び込む。
クレイグもレナの手を引きウルを追うように走った。
ズズゥゥゥン……ッ
ドガ……ン……ッ
後方から、激しく争う音が聞こえる。それは地響きであったり、大気を震わせる爆音であったり。
だが、ウルは振り返らなかった。今はラーマを信じるしかない。
ラーマが現れなければ、もしかしたら全員死んでいたかもしれないのだ。
まさか、黒竜が現れるとは思わなかった。あの影の中にいるであろう女性は大丈夫だろうか。
森を飛び出し、街へと入る。街人は、地響きや爆音に目を覚まし、家の外に出てきていた。
そんな街人達の間をすり抜け、ウル達は宿屋へ飛び込む。
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