ドラゴン・テイル

 ウル達を出迎えたのは、エルフのセルフィリオーナ。

「あんた達! さっきの凄い音聞いた?」

 ウル達の姿を見るや、駆け寄ってきて声をかける。

「話しは後だ! キスティンは?!」

 ウルの気迫に良くない状況を察し、セルフィリオーナが短く的確に答える。

「すぐ熱は引いたけど、まだ安静が必要」

 ウルは小さく頷き、キスティンの眠る部屋へ入った。

「クレイグ……? さっきの音は何?」

 意識は戻っているのか、体を横にしたままキスティンが言った。

「キスティンッ!」

 レナがベッド脇に駆け寄った。

「レナ……? どうして……」

 故郷にいるはずのレナに驚いて問うキスティン。

「キスティンの毒を消す薬草、レナが持ってたから持ってきてもらったんだ」

 レナの代わりにクレイグが答える。

「キスティン、少し動くが大丈夫か?」

 ウルの切り出した言葉に、セルフィリオーナが待ったをかけた。

「ちょっと! あんた、さっきのあたしの話聞いてた? 安静が必要だって言ったでしょ!」

 視線をセルフィリオーナに向けて、ウルは首を横に振った。

「詳しい話は後だ。一刻も早くここを離れる。キスティンを置いては行けない」

 そう言うウルの横で、キスティンが体を起こした。レナがその背に腕を添えて支える。

「…何かあったのね…? 私なら平気よ」


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