ドラゴン・テイル
何とか保った平常心で思考を巡らせる。
ラーマ達はどこにいるんだ……? この洞窟の事を知らせなければッ!
ウルが上へと戻ろうとした時、それを呼び止める声が聞こえた。
「ふむ、もうここを突き止めたのか」
振り返り、足の下の地面に目を向ける。
「カスタール!!」
そこに立ちウルを見上げていたのは、ホズの森で黒竜の影に飲まれた女性の姿。
「知られてしまっては仕方ないな。一人で来たことを後悔するがいい」
そういうと、右手をウルに向かって延ばし……─
ドンッッ
見えない衝撃波がウルを襲った。
「ッうぁ?!」
耐えれず後ろの壁に叩きつけられ、地面に落ちる。
「あのドラゴンはどうした? 他にも仲間がいただろう。
ふっふっ……仲間割れか?」
地面に落ちた衝撃で息が詰まる。ヨロヨロと立ち上がるウルに、ゆっくりと近づくカスタール。
ウルは小さく呪文を唱え、解き放った。
「コンフィネンスッ!」
カスタールの足下から氷が突き出し、カスタールの体に巻き付いていく。
足止めの魔法。足下の物質が対象の動きを止める。警備兵達が犯人を追いかけてるときに使ったりするらしいこの魔法は、強力だが決して相手に危害は与えない。
ウルは、カスタールに…と言うより、リムレットの体に傷を付けるつもりはない。今はまだ戦えない。
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