ドラゴン・テイル
カスタールの顔に、うっすらと笑みが浮かぶ。元のリムレットの顔で笑えば可愛らしいのだろうが、今は不自然にひきつった顔。
不意に、左腕を軽く振るカスタール。すると、体に巻き付いていたハズの氷がバラバラと崩れ落ちた。
もちろん、そんなに簡単に解ける魔法では無い。
その状況を唖然と見つめるウルに向かって、一気に距離を詰めるカスタール。
─……クッ!
咄嗟に横に跳ぶが、カスタールの放ったけ蹴りがウルの右肩に当たった。
もの凄い衝撃で吹き飛ばされる。地面に叩きつけられ、体中に激痛が走る。
マズい……ッ!
クラクラする頭を軽く振りながら、何とか体を起こす。
このままじゃやられる……。何とかして外に出なければッ!
グッと睨むウル。その視線を相変わらずの笑みで受け止めるカスタール。
焦りで上手く考えがまとまらない。とにかく、カスタールの注意をそらし外へ出れば良いのだが、その方法が思いつかない。
ジリジリと後退するウルと、一歩一歩歩み寄るカスタール。
なにも思いつかないまま、壁際まで追いつめられたウルに、カスタールが口を開いた。
「ククク、ネタ切れか?
ならばそろそろ消えて頂こう」
両腕を頭上で交差させるように振り上げたかと思うと、腕を広げながら勢いよく振り下ろす。
カスタールの腕から生まれた風圧がウルに向かって突き進んだ。
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