ドラゴン・テイル

 ウルは、極力勝ち誇ったように声を上げた。

「そこまでだな、カスタール!」

 クレイグの剣を結界で防いでいたカスタールが、ウルに視線を向ける。

 ウルは、セルフィリオーネから借りたダガーを宝玉に突きつけていた。

「……やはり貴様等が持っていたか。その宝玉は我の物。返していただこう」

 そう言うと、クレイグを無視して歩み寄ってきた。

「近づくなッ! 宝玉を砕くぞ!」

 ウルの声に、カスタールはニヤッと笑うだけで足を止めない。

「その宝玉は我が魂。そんな小さな刃では傷一つ付けられぬ」

 笑いながら言うカスタール。

「どの道、その宝玉の中身に用がある。壊せるなら壊してみるが良い」

『ならば、そうさせて頂こう』

 聞こえたのは、ラーマの声。

 その直後、宝玉に向かって上空から炎が飛んできた。

 炎が宝玉を包む寸前、ウルはコパンを抱えて横に跳ぶ。セルフィリオーナもウルの反対側へ避けた。

 激しい炎が宝玉を包み込む。ピキピキッと小さな音を立て、宝玉に亀裂が走り始めた。

 それを、相変わらず笑いながら見つめるカスタール。

 ゆっくりと視線を上げ、天井の穴から覗くラーマの瞳を見据えた。

「ふふ……宝玉を破壊する手間が省けた」

 バリンッ

 カスタールがそう言うと同時に、激しい音を一つ立てて宝玉が崩れ落ちる。

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