ドラゴン・テイル

「しっかりしろクレイグッ!!
 放心してる場合じゃねぇだろッ!」

 驚いたようにウルの目を見返すクレイグに、ウルが続ける。

「何としてでもあいつを倒さないと、全員死ぬんだ! あいつを野放しにしたら街全部がルーヴァの二の舞になる!」

 カスタールが壁を突き破り戻ってきた。

 視線を戻すウルとクレイグに向け、巨大な尻尾を打ち付ける。

「ウルッ! クレイグッ!」

 響くセルフィリオーナの叫びと、何かに突き飛ばされる感覚。

 ドグッッ

 尻尾に吹き飛ばされたのは、咄嗟にウルとクレイグを突き飛ばしたセルフィリオーナだった。

「セフィッ!!」

 セルフィリオーナの体が宙に舞い、地面に落ちる。

 グルルルル………

 カスタールのうなり声が、天井を無くしただの穴となった空洞の空気を震わせる。

 クレイグは、セルフィリオーネを庇うように立ちはだかりカスタールに剣先を向けた。

「てめぇ……ちょっとデカいからっていい気になるなよ」

 強がりだと言うことは一目でわかる。
 だがその台詞は実にクレイグらしい。

 黒竜が、僅かに目を細める。

 まるで、遠くを見るように。

 ─……そうかッ!

 あることがウルの脳裏に閃く。

「クレイグ! 絶対に音を立てるな!」

 ウルの声に反応しカスタールが視線を動かすと、ウルに向かって怒号のような威嚇の声をあげた。

 次いで、突進してくる。それを寸でで交わすウル。

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