ドラゴン・テイル

 再び壁に突進するカスタールの横をすり抜け、クレイグの元に走った。

「おいウルッ! どういうことだよ!」

 訳が分からないと言うように、駆け寄ってきたウルに声をかけるクレイグ。

「目が見えないんだ! 恐らく、まだ魂か思念かが体に馴染んでいないんだろう」

 ガラガラと壁の瓦礫から起きあがるカスタール。

 キョロキョロと辺りを見渡すその姿を見て、クレイグは「なるほど」と言うように頷いた。

 だが、それがわかった所で根本的な解決にはならない。

 カスタールが視力を回復させる前に倒さなければ、勝てる見込みが薄れてしまう。

 ウルは、ラーマが埋もれていれ瓦礫に視線を向けた。ラーマはまだ動かない。

 何か方法はないのか……?!

 壁側に横たわるリムレットに視線を向け、竜の歌を思い出す。

 そうだ、あの歌は、黒竜が復活するときの甦生魔法だとラーマが言っていた。

 ならば、あの魔法のワードを変えれば、甦生ではなく消滅の魔法になるのではないだろうか。

 壁際で、ウロウロと音を頼りにウル達を探すカスタールに視線を向けながら、ウルは竜の歌を思い出した。

 ウルは、研究専門では無い。
 ワードを変えて唱える魔法が、本当に発動出来るかもわからない。だが、カスタールを相手に二人で戦うのは無理だ。ドラゴンであるラーマさえ、たった一撃で立ち上がれないほどのダメージを受けた。



_
< 245 / 257 >

この作品をシェア

pagetop