ドラゴン・テイル
「やぁぁぁぁっぱりっ! 聞いてなかったのね、私の話!」
頬を膨らませてキスティンが怒る。
「キスティン、あんまり怒ると顔戻らなくなっちゃうぞ?」
─良かった!
なんだよ、俺の勘違いじゃん!
ようやく思考が戻る。それと同時に気恥ずかしくなった。
かっっっっこわりーーーっ!
今までと全く違う意味で自己嫌悪に陥りそうになる。
「あほっ!」
ごんっっと軽快な音を立て、キスティンのゲンコツがクレイグにヒット。
「……ぃ…ってぇ〜……」
「もう一回だけしか言わないから、よぉぉぉぉぉっく聞きなさいよっ!」
キスティンは、まるで真面目一徹な師範のように強い口調で言った。
「……は、はイ………」
勢いに圧倒され、何故か敬語になる。
そんなクレイグを見て、さっきまでの怒りの表情から一転、真面目な顔で話し始めた。
「私の友達が、クレイグの友達、ウルさんって人を好きみたいなの」
うんうんと頷くクレイグ。
「で、聞きたいんだけど、ウルさんってクレイグから見てどんな人?」
「んー……」
クレイグは少し考えて、
「不愛想、無口、くそ真面目、何考えてるかわかんねぇ、怖い」
ウルに当てはまりそうな言葉を淡々と選んでいく。
「…………そ、そう……」
ひきつりそうになるのを押さえつつ、何とか言葉を絞り出す。
つまりクレイグと正反対の人なのね…。って言うか、どんな人かを聞いて第一声に負の要素が出てくる人ってどうなのよ。
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