ドラゴン・テイル
キスティンは、レナが何故ウルに惹かれるのかが分からなかった。
クレイグの話を聞く限りでは、どう贔屓目に見ても良い印象は持てない。
……いやいやいやいやっ! 人間会ってみないと分からないもの! 男目線と女目線の違いもあるしっ!
ふるふると首を振る。
「ウルさんに会ってみたいんだよね。クレイグ、ウルさんが暇な時で良いから、会わせてくれない? あっ、さっきの話は内緒で、ね?」
「……いいけど、何で?」
「私の友達ねぇ…、すんごい奥手なのよ。頭に『異常に』って付けても過言じゃないくらい。今まで、男の子に特別な好意を持ったことが無いらしいんだよね」
これは、実際にキスティンがレナ本人から聞いた言葉だ。
恥ずかしがって嘘を言った可能性もあるが、咄嗟に嘘を付くのが苦手なレナの性格を考えるなら九十%位事実だろう。
「そんな友達が初めて好きな人と話した時に、相手がすんごい性格悪かったり傷つくこととか言われて、男の子に対するトラウマとか作っちゃったら可哀想でしょ?」
キスティンは、本気で心配していた。
最初は好奇心で会ってみたいと思ったが、クレイグの言う『ウル人間鑑定』を聞いて不安になったのだ。
確かに……と頷くクレイグ。
「じゃぁ、ちょっと待ってて! もうウルもトレーニング終わってると思うし、ちょっと呼んでくるよ」
そういうと、ベンチから立ち上がり走り出した。
「ありがとっ! 待ってるよ!」
走り去るクレイグの背に、慌ててお礼の言葉を投げかける。
クレイグは走りながら「どういたしまして」と言うように右手を軽く振り、見えなくなった。
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