ドラゴン・テイル
結局、そのまま猛ダッシュで帰ってきた二人。
家に着く頃は、このままぽっくり逝くのではなかろうかと思うほど息を切らしていたキスティンと、息は切れているもののまだ余裕を感じるクレイグの体力の差が明らかになった。
「な……、な………っで…っ! そっ…そ……なに………よ……ゆ…な……よっ…」
今にも倒れそうな程ぜはぜは息をしながら、キスティンが愚痴た。
「何言ってるかわかんねぇ」
キスティンを支えて、笑いながらクレイグが言う。
すーっはーっすーっはーっ
必死に呼吸を整えようと深呼吸を繰り返すキスティン。
しばらく深呼吸を繰り返したキスティンは、呼吸が整ってからもう一度リピートした。
「なんでそんなに余裕なのよっ!」
半ば八つ当たり気味に、ポスっと軽くクレイグにパンチするキスティン。
「鍛え方が違うのだよ」
ふふんっと言うような表情で答える。
キスティンはため息をつき、
「はー、前はいっつも私の後ろにくっついてまわってた金魚のうんちが、今じゃ私でも追いつけないなんてねー。背だって私よりも低くて可愛かったのに今じゃゴリラ」
「ちょ、キスティンちゃん……。そんな遙か昔の俺と比べられても…っつか、何だよゴリラて」
「あ、そうそう! 走りながら考えてたんだけどさ!」
ふと何かを思い出したように、クレイグの言葉を無視し話し始める。
………ってか走りながらて……。
「走ってる時によくそんな余裕あったなぁ。俺なんか無心で必死に走ったのに」
「あははっ! なんかねぇ、私、前を走ってるものとか逃げるものは無意識に追いかけたくなるのよね! なんて言うか、条件反射? だから、違うこと考えてても、体はおいかけてるんだよねぇ」
猫かおまいゎ。
間髪入れずに心の中で突っ込みをいれるクレイグ。
「……まぁ、良いけど……。んで?考えたことってナニ?」
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