ドラゴン・テイル
奇襲
少し後ろから黙って付いて来るウルを、レナが気遣うように振り返る。
相変わらず、不機嫌な表情をしている。
何か話しかけたい……けど、何て声をかけたらいいの…?
普段あんまり自分から話さないせいか、声をかけるタイミングさえ掴めない。
こんな時こそ、キスティンかクレイグに話すきっかけを作って欲しいところだが、人混みではぐれてしまったのか二人の姿は見当たらない。
困ったな〜、どうしよう……。
パレードの時間が近づき、人の動きが慌ただしくなる。
レナは行き交う人の波に飲まれないようにと気をつけながら、キスティンとクレイグの姿を探した。
だが、目立つハズのキスティンの髪色も、長身のクレイグの姿も見つけられない。
不意に、どんっと歩く人にぶつかった。
「ひゃっ!」
よろけて倒れそうになるレナの体を、ぶつかった相手が抱き止める。
「ごめん、大丈夫?」
若い男の人の声。
レナより少し年上に見えるその人は、レナを覗き込むように見て言った。
「はっはい! 大丈夫です、すみません」
「本当に?」
ゎゎっ! そんなに見ないで〜!
ただでさえ異性とあまり会話をしたことが無いレナは、覗き込むような視線を向ける男の人の顔を見て少しだけ赤面する。
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