ドラゴン・テイル

 クレイグよりも少し髪が短いだろうか、スポーツカットのように刈り上げた銀色の髪。
 男の人にしては小顔に見える。レナを支える腕は、筋肉がついてがっしりしていて力強い感じがした。何かスポーツをしているのだろうか。


 レナの赤い顔に気付いた男は、心配そうな顔をした。

「具合悪いんじゃない?顔が少し赤いみたいだけど……」


 あなたの顔見て赤面しました。などとは言えず、レナは首を振った。

「ほ、ホントに大丈夫ですので……」

 すり抜けるように男の腕から体を離す。

「あっちに日陰があるから、行こう」

 体を離したレナの腕を取り、男は歩きだそうとした。


 えぇっ?!

 さすがにここまで来るとレナは怖くなった。

 だが、男は痛い位に強くレナの腕を掴んでいて振り払えそうに無い。

「は、はな……っ離して下さいっ」

 胸に沸き上がった恐怖に邪魔されつつも何とか絞り出した声は掠れていて、男には届いていないようだ。


 レナの腕を引き歩きだそうとした時、レナを掴んでいる男の腕を別の手が掴んだ。



「俺の目には、嫌がってるようにしか見えねーんだけど?」

 ウルだ。
 レナは、驚いた顔でウルを見上げる。
 嬉しさと安堵で涙が出そうになるのを堪えた。

「何だよお前。関係ねーだろ」

 さっきまでの穏やかそうな表情から一変、険しい顔で男はウルを睨んだ。

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