ドラゴン・テイル
「関係無いって言いたいとこだが、残念ながらこいつは連れでな」
ぐっとウルの手に力が入る。
「俺にゃ関係ねぇよ。手ぇ離せ!」
男はもう片方の手で、ウルの手を掴みはぎ取ろうとした。
だがその直前、男の腕のウルが掴んでいる箇所から、シュゥゥゥゥっとまるで空気が抜けていくような音が聞こえた。
「っぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴と共に、レナを掴んでいる男の手が離れる。
男は地面に膝を付き、叫びながら必死でウルの腕を引き剥がそうとした。
突然の悲鳴に驚いた周りの人が、ウル達を見る。いつの間にか、三人を囲んで輪が出来ていた。
間近にいたレナにも、一瞬何が起きたのかわからない。
ただ、突然男が苦痛に顔を歪め、地面に崩れ落ちた。それだけしか確認できなかった。
ウルは、ちらっと周りに視線を配り、男から手を離す。
男はとっさに捕まれていた部分をもう片方の手で抑え、その場にうずくまった。
うぅ……っ
苦痛に耐えるような声が男の口から漏れる。
押さえている男の手の隙間から、一瞬真っ赤に爛れている腕が覗いたのをレナ見逃さなかった。
─魔法使ったんだ……っ!
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