ドラゴン・テイル

「あ、あの……」

 躊躇いがちに声をかけてみた。
 ウルの視線が、レナの姿を捉える。

 一瞬、ドキンとした。
 初めてみた時の何も変わらない、まるで吸い込まれそうな澄んだ鳶色の瞳。

 だが、その表情からは何の感情も読み取れない。


 不意に、何だか悲しくなってきた。

 それは、ウルの瞳から視線を逸らせない自分に対してなのか、何の感情も表現してくれないウルに対してなのか……。レナ自身にも分からなかった。

「すみません……私なんかと居ても、退屈ですよね…」

 何故こんな言葉を言ってしまったのか、言ってる途中から既に後悔したが、言葉を途中で止めるのも何だか変な気がて止められなかった。

 語尾は自然と小声になってしまったが。

 そんなレナの心を見透かすようなウルの瞳。

 一拍……か、レナにはもっと長く感じた沈黙の後、

「……別に……」

 言葉とほぼ同時に、ふいっと視線を逸らす。

 再び、二人の間に沈黙が落ちた。



 ……別にって、ど、どういう意味…?!

 表情には出さないように努力しつつも、レナの鼓動は早くなっていった。


 そんなに、退屈してないって意味かな……、それとも単なる気遣いとか?
 話しかけられるのが嫌で適当に言葉を濁しただけ……とか…?


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