ドラゴン・テイル
「デスフレア!」
ウルの言葉に呼応するように闇夜が揺らめき、黒の業火となって影を取り巻いた。
ギュギャゥァァァァァァァァァッッ!
骨の随まで焼き尽くされそうな炎に包まれ、影は暴れ狂った。
「うぁっ……っと!」
すぐ近場にいるウルは、暴れる影の体を避けながら距離を取る。
確かな手応えはあった。……だが…。
─だが、たった一撃で致命傷が与えられただろうか……?
念の為とばかりに再び詠唱を始め……─
途中でやめた。
遠くから響きわたる音……。
これは何だ……?
……さっ……ばさっ……バサッ……
一定のリズムを刻むように聞こえてきたのは─……羽音。
はっと頭上に視線を走らせる。
そこには、優雅に羽を広げ、高く高く飛行する何かがいた。
雲の切れ間から覗く月の光に照らされた白銀に輝くソレは……。
「………ドラゴン……」
クレイグの呟く声にも振り返ることなく、ウルはじっとドラゴンの姿を睨み据えた。
─あの時のドラゴン……とは、違うやつか……?
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