ドラゴン・テイル

 ウルの影が奔(はし)る。

 ドラゴンに向かって……。


「何してんだよ! ウル!」

 クレイグの声が聞こえたが、視線は外さない。



 だが、奔る影が白銀に光るドラゴンを捕らえる直前、何かに阻まれるかのように闇に四散した。

 既に生き絶えた蛇のような化け物を口に加えたまま、ゆっくりとドラゴンが視線をウルに移す。


「う、ウル……やべぇよ……」

 紫の瞳を光らせ、ウルを見据えるドラゴンがふいに口を開いた。

『いきなり何をする、小僧。それが助けてやった者に対する仕打ちか?』


「「なっ?!」」


 ウルとクレイグが、同時に驚愕の言葉を漏らす。

「喋ったぁぁぁ?!」

 クレイグが、これでもかと言うほどの驚き顔で叫んだ。


『ふっはっはっは!』


 二人の驚きように、豪快な笑い声をあげるドラゴン。


『我々竜族は人間と比べて長寿な上に、一所にじっとしていられない性質だからな。
 色んな場所に行き、長い時間を過ごす内に自然とたくさんの種族の言葉を覚えてしまうものだ』


「そ………そんなもんなのか……? いやっ、そ、そうですか……?」

 慌てて言葉を正すクレイグ。

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