ドラゴン・テイル
出会い
「確かに、竜は知能が高いって言うし、喋れても不思議はねぇんだろうけど……何か変な感じ。そんな口の形でよく発音出来るなぁ……」
クレイグは唖然としたまま呟く。既に敬語が抜けている。
─そもそもこいつは敬語なんてガラじゃねえよな……。
と、どうでも良い考えがウルの頭をよぎった。
だが、ウルが冷静さを取り戻すのには十分な役割を果たしている。
『おっと、小僧共、迎えが来たようだぞ』
体の随に響く声とともに、ドラゴンが町の方に視線を投げた。
見ると、松明を掲げながら町の警備兵が数名、こちらに向かって走っている姿。
少し離れた場所で立ち止まり、警備兵の内の一人がウルとクレイグに近寄ってきた。
どうやらあの中のリーダー格らしい。
「君達、大丈夫だったかい?」
『気さく』を顔で表したような、人なつっこそうな若い男は、ウル達の答えを聞く前にドラゴンに視線を向け、敬意を表するかのように敬礼をした。
「えぇっと、言葉通じるかわかりませんが……」
少し圧倒され気味に前置きをし、言葉を続ける。
「我らの町民の命を救っていただき、心からの感謝の意を表します。我々の町が竜族に救われるのは二度目です」
その言葉に、白銀のドラゴンは目を少し見開いた。
『ほほぅ……。それは奇遇』
「うひゃぁぁぁぁっ?!」
言葉を紡いだ竜に、驚愕の声を上げる警備兵の男。
《やっぱり驚いた》
《そうだよなぁ、普通ビビるよな》
ウルとクレイグは同時に心の中で呟いた。
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