ドラゴン・テイル
「……………ドラゴンが、世界を支配した……」
昔読んだ文献の一説。
『そうだ。我らが世界を支配した。だが、全てのドラゴンがそうだったわけではない。中にも人間を守るため、同胞に牙をむく者もいた』
その結果、どうなったのかラーマは言わなかった。
戦争は起こった。その事実を考えれば、聞かなくても分かる。
『黒竜が率いるドラゴンの軍団。黒竜の魔力の影響に耐え、自我を保ったドラゴン。だが、その数は歴然だった。
生き残った自我を持つドラゴン達は、人間に力を与えるだけが精一杯だったのだ』
私の血族も、その内の一人。
悲しげに言うラーマ。
『結果として、人間や精霊達は勝利を収めた。それから、ドラゴン達の生態は変わった』
まるで、己の中から闇を消し去るように……。黒竜の復活を阻止するように。
『闇を操る黒竜に対抗するため、様々な属性を取り入れてその力を伸ばしたのだ。次第に、黒竜が姿を消したのは奇跡だったかもしれぬ。紫竜は残ったが……』
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