ドラゴン・テイル
シーナさんとは、レナやキスティンのように町の外から魔術関連の講義を受けに来る人を対象とした寮の厨房を任されている女性だ。
少し大柄で、性格も豪快。料理の腕も確かで、寮関係者以外の一般の人も寮食を食べにきたりする。
『健康も体力作りも基本は食だ』がモットーだとかなんとか。
「ありがとう、キスティン」
紙袋を受け取り、お礼の言葉を述べるレナ。
キスティンは、テントの中を一通り見回し、
「今日中に終わりそうね。ごめんね、私回復系苦手で手伝えなくてさ」
と、申し訳なさげに言った。
「気にしないで、キスティン。誰にでも得手不得手はあるもの。私は、キスティンみたいに攻撃系はてんでダメだし」
こんな時くらいは役に立たなきゃね、とレナは笑顔を向けた。
「んもーっ! レナ大好きよー!」
思いっきり抱きついてきたキスティンに驚きつつも、笑いながら「はいはい、私も大好きよ」と軽く背中を叩いてあげる。
じゃれ合いに満足したのか、キスティンはパッと顔を上げて、
「じゃぁ、私がここに居ても仕方ないから、外の片づけ手伝ってくるね!」
そう言うと、また来た時通った道を戻りテントを出て行った。
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