ドラゴン・テイル
ポツッ………ポポツッ………
地面に落ちて弾け散る音に、キスティンは空を見上げた。
「っちゃー、とうとう降って来ちゃった」
少し歩む速度を早める。
地面の色が次第に濃さを増してきた。
辺りで片づけ作業をしていた町人達も、区切りを付けて雨宿りの場所を探し始める。
ザーー………………
本降りになる寸前に屋根のある建物にたどり着いたキスティンは、服に落ちた水を払い落とすようにパタパタと体を叩いた。
「うひゃーっ! 何だよ、急に降り出しやがって!」
一際大きな声に目を向けると、そこにはキスティン同様体をパタパタ叩くクレイグの姿。
「あら、クレイグ。おはよう」
「おーっ? キスティン、何でここに居るんだ?」
キスティンの姿を視界に捉え驚いた表情を浮かべたクレイグが、足早にキスティンの隣にやってきた。
「レナに届け物持って行ったの。
クレイグこそ、どうしたの?」
「いや〜、実は朝からウルが見あたらなくてさ。
ほら、あいつがあのでけぇモンスター怒らせただろ? だから片づけくらい手伝えよって言いに行こうと思ったんだが…」
クレイグがウルの家に行くと、そこは蛻の空だった。
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